ジョン・カサヴェテスの集大成
離婚協議で家族から失望され、アメリカへ帰ってきたサラと、愛や孤独などの小説を書きながらも自堕落な生活を送っている弟のロバート。
愛を失い、孤独に絶望して狂っていく二人を通してカサヴェテスが人間の在り方について問う物語。
ショットやカメラワークなどはほぼ完璧に近い。逃げる息子を車で追いかけるショットは素晴らしい!
サラもロバートも家族から愛されずに葛藤する前半。特にロバートが初めて会う息子とのやり取りで、愛しもせず女と遊んでにほったらかしているのでイライラが募りました。
最後に嫌いながらも「パパ、愛してる」と言った息子の姿には涙が溢れました😢
後半はサラとロバート、愛されなかった者同士がジュースボックスから流れる音楽に合わせてダンスするシーンから始まる。
サラが自由恋愛に走ったりするものの、うまくいかず病に倒れていく。
たくさんの動物を買って家に運び入れるシーンはちょっと笑っちゃった😁
後半の展開はあんまりハマりませんでした…。
この映画のテンションはポール・トーマス・アンダーソンの『マグノリア』に似てるなと感じました。あちらも愛や孤独、そして人生は流れに沿って生きることをテーマにしている。
あとまた濱口竜介、パクってるよw離婚協議中とか『ハッピーアワー』やんw
旦那のキャラクターも似てるし。
みんな愛されたい、愛されたいのに孤立していく。現実逃避をする者もいれば、何も変われない者もいて「愛なんて下らない」と吐き捨てる。
そもそも私たちは何で愛されたいのだろうか?身体や心の繋がりで満たされるのか?いや、違う。
一番必要なのは「自己愛」なのではと考えました。サラは最後に幻想を見て「自己愛」にたどり着く。そして嵐とともに救済され家を出ていく。それを見守ることしかできないロバート。
誰かに愛される前に自分を愛するべきなのではと言われた気がする。そうすれば少しは人生に希望が持てる。
この映画を観たあと、ある芸能人の方の訃報が入ってきてなんだか色々考えました…。
悲しい世の中だからこそ、人を愛し自分を愛し合える世界が来ればなと感じました。
ジョン・カサヴェテス個人的ベスト
1『オープニング・ナイト』
2『グロリア』
3『こわれゆく女』
4『ラブ・ストリームス』
5『フェイシズ』