いち麦

ビッグ・リボウスキのいち麦のレビュー・感想・評価

ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)
5.0
コーエン兄弟の作品中では一番好きなブラック・コメディ。
そこはかとなく可笑しい数々の笑いネタも好きなんだが、身代金目当ての誘拐事件がどんどん有らぬ方向へ転がっていく主流の物語もコーエン兄弟ならではで、しっかり吸引力があって面白い。実際にキャラクターとして可笑しいのは主人公デュード(ジェフ・ブリッジス)より寧ろキレやすくイカれポンチのウォルター(ジョン・グッドマン)だと改めて実感(物語の舵取り的な役回りでもある)。ジュリアン・ムーア演じる奇抜な娘モードも強烈な印象を残す。ブシェミが最初から最後まで漂わすキャラクターの哀愁感、芸達者を実感させるジョン・タトゥーロの腰つきも可笑しい。物語の語り部とも思えるサム・エリオットの風来坊が醸すクールな渋味も凄くイイ。ボーリング場のメカニックを映すカットも個人的には気に入っている。

デュードが何時も手にしているホワイトルシアンのグラスが溢れそうで溢れない…何度も見直していると非常に気になってくる。ケニー・ロジャースの“Conditions (Just Dropped In)”も耳タコになる上にあのシュール映像が瞼に浮かぶようになってくる。
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