凛太朗

ビッグ・リボウスキの凛太朗のレビュー・感想・評価

ビッグ・リボウスキ(1998年製作の映画)
3.8
コーエン兄弟による凄くゆる〜い、巻き込まれ型のドタバタブラック・コメディ。
笑えるんですけどブラック・コメディですから、そこはかとなく社会風刺が効いているし、コーエン兄弟らしさ全開で凄くシュール。故にカルト認定される映画と成っております。

ジョージ・H・W・ブッシュ政権下の湾岸戦争の頃のロサンゼルスでのお話。
ジェフリー・リボウスキことデュード(ジェフ・ブリッジス)という街一番の無精男が、同姓同名の大富豪に間違われたことからドタバタが始まるわけですが、殆ど全てが、デュードを取り巻くイカれたキャラクター達の勘違いと思い込みによって成り立っているようなものだと思います。

そして湾岸戦争の頃というのが非常に重要で、つまり湾岸戦争だったりベトナムだったり朝鮮戦争だったり、兎に角戦争ってものを皮肉りまくってますね。
デュードの相棒でボウリング仲間のウォルター(ジョン・グッドマン)なんか、オレはベトナム帰還兵だ!とか吠えまくって、事あるごとにベトナム云々言うてる奴で、常に何かしらに口を挟んでは事を大きくしてしまう。
ってこれもう、あっちの争いにもこっちの争いにも頭突っ込んでは主導権を握ろうとするアメリカそのものですわね。
まったく、ただボーリングを楽しんでいただけで死んでいったドニー(スティーヴ・ブシェミ)が浮かばれないよ。

そんな感じですが、結局この笑いが合わない人には合わないでしょうね。まぁだからカルト映画なんですけど。
凛太朗

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