ShinMakita

ミスター・ノーボディのShinMakitaのレビュー・感想・評価

ミスター・ノーボディ(1974年製作の映画)
2.7
お前は無名だろ。有名になるチャンスだ。



1899年の西部…生きる伝説となった名ガンマン、ジャック・ボーレガードが命を狙われていた。仲間のレッドと弟ネバダキッドが、金山詐欺を仕組んだ実業家サリバンと反目して消され、ジャックも賞金首となったのだ。そんな彼の旅路に、なぜかくっついてくる若者が現れた。彼はジャックの過去の戦歴に詳しく銃の腕もあるようだが、ジャックを殺して名をあげる気は全くないらしい。名を尋ねても「ノーボディ」と答えるこの男、ジャックがサリバンを操る武装集団〈ワイルドバンチ〉と対決するのを楽しみにしているようだが…


「ミスター・ノーボディ」



レオーネ原案のコミカル・マカロニ・ウェスタン。伝説のガンマン役はヘンリー・フォンダですけど、主役は名無しのノーボディ=テレンス・ヒルですね。もちろん冒頭の散髪屋での待ち伏せから始まるガンファイトの醍醐味はありますけど、どこか牧歌的で陽気な雰囲気の西部劇でした。だだっ広い荒野で150vs1の闘いに挑むクライマックス、そして鮮やかな反復エピローグ、素晴らしかったですね。ラストの手紙ナレーションで、これが単なる西部劇ではなく老人から若者への世代交代ドラマだったと気づき、結構奥深いなと悟りました。傑作ですよ。



本作のモリコーネサウンドはかなりバラエティに富んでいて、ノーボディの場面は明るくコミカルに、ワイルドバンチの登場は勇壮に(ワーグナーの引用も!)、有終の美を覚悟したヘンリー・フォンダのバックには郷愁を誘うメロディと振り幅広め。モリコーネの遊び具合が楽しい一本でしたね。
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