とか26

独裁者のとか26のレビュー・感想・評価

独裁者(1940年製作の映画)
4.5

こんなに笑えて、ハラハラして、
演出の美しさに見惚れてしまう映画が
80年前の作品っていう事実に頭から崩れ落ちる。

80年が経った今でも
名前を言ってはいけないあの人みたいな存在である
ヒトラーという強大な敵に対して、
完膚なきまでに全否定したうえで
その歪んだ思想を叩き潰してやるっていう
チャップリンがこの映画に込めたテーマ性の強さは
そりゃ80年ごときじゃ
薄まりませんわ、埋もれませんわ。
単純に映画としてみんなが楽しめるように
コメディでそれを覆い被せてるのに、
メッセージ性は強いままでいる。

「リアリティ」という言葉を盾に、
過剰なほど残酷な描写で当時の悲惨さを映して
衝撃を与えてくる映画が現代にはごまんとあるなかで
コメディからのシリアスっていう
ギャップの力 ひとつだけを武器にして
80年間、名作として残り続けている恐ろしさ。
バランス感覚の精度が、高過ぎる。
あれだけ楽しかったチャップリンの映画で
こんな悲しいシーンが流れてる。。。
という状況を体験することで
残酷なシーンが無くても、
不安と恐ろしさが混じったような
気持ちにさせられてしまう。
チャップリンが
大勢に吊るされそうになるシーンとかの
なんとも言えない、コメディとのギャップ。。

ヒトラー = ヒンケルにもユーモアな描写を入れたりと
一歩間違えれば
敵側に感情移入してしまいそうになる、
命がけの綱渡りまで披露してて
その天才的な手腕には頭が下がります。
地球儀のシーンみたいな、
神さまと共作でもしたのかっていう
玉より完璧な形した名シーンとかが
ドライブスルーみたいに軽く通り過ぎてくヤバさ、
これから初見の人たち
マジで覚悟してください。
約束された名シーンに震えろ。

言わずもがな ラストの演説シーン、
そしてそこへ持ってくまでの皮肉な展開は見事。
チャップリンのちょび髭がヒトラーと似てるっていう
迷惑極まりない「完全に一致」を逆手にとった
この展開は痛快でした。
2人が同じビジュアルだから
いつ入れ替わるんだろうかと思ってたら
まさかあんなに直前に置くとは。
演説からのラストシーンまで、
街の灯でも思ったけど 締め方がうま過ぎる、、。
街の灯は100点超えてるからアレだけど
今回も良い締め方でした。

名前だけしか知らない
ライムライトも見てみたいし、黄金狂時代も見たい。
あと、モダンタイムズも見なきゃ。

ありがとうございました😊
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