とか26

ゴジラ-1.0のとか26のネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

最高に面白い開始10分。
構成に違和感を感じる50分。
シンプルに楽しめた1時間。

🟨【良かったところ】
開始5分の掴みとして
前振りを一切作らない
突如としてのゴジラ投入は
断言できるぐらいの大成功だった。
あの掴みがあることで
何も起きないその後の30分間が
ゴジラ再登場への期待感で保ってた。

薄目で見なくとも
【ジュラシックパーク】なゴジラ、
抜群に滑らかな動きしてて
陸に上がったばっかの
魚ぐらい活きがよかった。

佐々木蔵之介さんの演技が
クサ過ぎるって意見あるらしいけど、
個人的には満点の声質をされてたので
喋ってるだけで発音の緩急よくて
脚本が 生きたセリフに変換されてた。
艦長さんの声も良かったなー。

街を歩けば【三丁目の夕日】、
艦隊が出れば【アルキメデス】、
戦闘機に乗ってれば【永遠の0】と
これまでの山﨑監督作品で
培われてきたあらゆる下地が
畳み掛けるように登場してくる
集大成感、ひたすらカッコよかった。

初登場時のゴジラの咆哮を
いったん艦隊の攻撃で邪魔したあと、
しっかり艦隊を全滅させてから
再び吠えさせる前振り、良かった。
ゴジラの咆哮、腹から声出てるから
聞いててめっちゃ気持ちがいい。
おれがもしゴジラだったら
11時間カラオケにこもります。

ゴジラに対して慟哭する
神木くんの演技、大好きだった。
神木くんが神木くんを脱ぎ捨てて
キャラを演じきってるとこ初めて見た。
放射線物質のこもった
黒い雨を浴びてるのも凄まじい絶望。
一瞬にして自分の肉体と大切なひと、
すべての未来を同時に奪われる。

戦艦が横一列に並んでるとこ見て、
船ってかっこいいんだなって思った。
統一された灰色のボディが渋い。

山﨑監督、
どんだけ特攻好きなんだよ…って
最後の最後まで思わせておいての
シンプルな脱出って回答が与える驚き。
【君の名は。】のオチぐらい
監督の作家性自体を前振りに利用した
おもしろい作りの結末だった。

直近で鑑賞した白組のCG映画が
【ゴーストブック】だったこともあって、
こんなCGをあの白組が作ってるの
ぜんぜん微塵も信じられなかった。
これが全力なんだとしたら
私は【ゴーストブック】で
一体なにを見させられてたんだよ。
白組すごいなぁ…、何作にも渡って
地道にCG技術を磨いてきた
努力の成果を見ました….…。
ハリウッドに通用してた……、!


🟥【気になったところ】
実は面倒みのいいおばちゃんを担うには
安藤サクラでは情念が強すぎだった。
いつまで経っても
「序盤のはただの前振りだったの…?」
っていう違和感が拭えない。
二面性とかじゃなくて、もはや別人。

敷島と典子の一緒にいる理由が
赤子の"アキコ"しか用意されないまま
2人の関係性を時間経過で飛ばしたのは惜しい。
ひとりになった敷島の孤独感を
典子が埋めてくれたとか、
亡くなった敷島の家族と 典子が重なって
彼女を守らなきゃいけない責任を感じるとか、
互いに対しての恩だったり
必要性を明確に作ってくれてれば
感情移入できたのにな…とは思った。
典子にゴジラの存在を明かすときの
整備兵の話だけでも先に打ち明けて
唯一自分の隠したい過去を話せた相手として
典子を特別な存在にしてて欲しかった。
それだと、あとであのときの整備兵たちは
実はゴジラという怪物に殺されたんです。って
打ち明ける流れにも出来ただろうし。
典子の「死んではいけない!」みたいな
強い意思表示とかも、
ゴジラを明かすとかよりもっと早い段階、
敷島と一緒に居ようってなる理由付けのほうで
やってて欲しかった。

海上にゴジラ登場する時の前振り、
なかなか違和感がすごかった。
というか前振りとして機能してないから
「なんかもうそこにゴジラ居るな…」
みたいな腑に落ちない映像になってた。
①深海魚浮かんでる。→ゴジラの説明。
②深海魚たくさん。→「勝てない!逃げよう!」
③ゴジラふわっと登場。
いやなんかおかしくないか…。
どのタイミングでもあんなのに勝てるわけないし
来るぞ来るぞ!って前振りしてるのに
来たぞー!って感じにはせず
突如現れたみたいな静けさなのが
気持ち良くない。
ずーっと無音なのも相まって
一刻を争うような危機的な状況に対しての
緊張感の無さが凄かった。
機雷処理の作業見てるときよりも
緊張感のない場面作りだった。

怒涛のように連続使用される、
「やったか!?」「やったのか!?」の
ヤケクソ具合、笑いを誘い過ぎてる。
あれが意図的なコメディじゃないなら
いろいろと心配になる。

神木くんと浜辺さんのシーン、
2人とも声が高めだからか
どれだけ感情的なシーンを演じてても
薄いというか、現代劇やってるみたいな
テンションに見えた。重さがない。

①ゴジラ再来!→逃げ切った。
②ゴジラの恐ろしさ。→気を失う。
②家に帰って「もう一度生きて良いかな?」
とかの流れもぜんぜん分かんない。
そんな悠長なこと言ってる状況じゃないし、
そうやって落ち着くタイミングって
機雷とかの仕事始める前では?
もう一度生きてみよう…。→ゴジラ襲来!
っていう緩急を付けたいがために、
「もう一度生きてみよう…」が
とんでもなく意味不明なところで
発生してるのがいちばんの原因。
艦隊がゴジラを海に沈めたとかで、
"ゴジラを倒せたと思ってる状況"なんだったら
なにも違和感ないんだけど。

登場のたび、【進撃の巨人】みたいに
急に目の前に現れるゴジラ、笑ってしまう。
その場で巨大化したんか?って思うレベル。
あんなにデカいんだから
遠くからじわじわ登場させたとしても
すぐ人混みまで来れるだろうに、
なんでそういう撮り方にしないのか…。

ゴジラのトゲがゆっくり順番に飛び出していくの
子ども用玩具のケレン味みたいで冷める。

敷島の絶望的なまでの
危機感知能力の無さ、腹立たしかった。
民衆がゴジラ気になって見ちゃうのは分かるけど
3度目の対峙だと言うのに
なぜ奥さんを道路側に立たせて棒立ちなんだ。

クライマックス、
【マーベル映画】疲れならぬ
"大ピンチに仲間たち大集結"疲れしてる…。
【ナルト】【エンドゲーム】辺りから始まり
【スターウォーズ】に【ヒロアカ】…、
ここ数年あらゆるエンタメのオチとして
利用されまくってて
もうなにひとつ感動できなかった…。
私の感性、枯れっ枯れっ過ぎて泣く……。
バケツいっぱいに汲んできた水を
誰かわたしにぶちまけてくれねかな……。

典子、めちゃくちゃ軽傷で生きてたけど
そもそもなんで
死んだことになってたんだろう。
体が見つからなかったんだとしたら
家まで徒歩で帰って来れそうだし…。
病院で意識失ってたのかな……。
典子が亡くなる展開は
"敷島は最終的に特攻させます"っていう
監督からの意思表示だと思ってたから
◯特攻しませんでした。→生きてました。
ってなる結末自体は筋が通る気もするけど
どのみち敷島は黒い雨を浴びてるから
おそらく長くは保たないだろうことを思うと
結局今作のなかでは
解決してないフリが多いなと思った。
今作だけでしっかり終わらせて欲しかった。
首のアザ?とか、ゴジラの再生に関しては
単なる引きでしかなさそうだから
コメントしようがない…。
てか【シンゴジラ】みたいに
考察で盛り上げるためだけの引きなら
別に要らなかったな…とも思った。

本当に山﨑監督ひとりで
脚本描いてるのか疑うぐらいには
構成や演出の前振りに
山ほど疑問が残る作品だった。
前振りいいな〜、前振り酷いな〜……の間を
何度も何度も反復横跳びしてて
ストーリーの違和感すごかった〜…。
CGだけはめっちゃ良かったよ〜う…。

ありがとうございました。
とか26

とか26