淀川長治さんは独裁者の撮影に入る少し前にチャップリンにあっており、そのときには「『街の灯』のような恋愛をテーマにしたものを作りたい」と答えたそうで、ある程度のプロットもてきていたそうな。それでもチャップリンは自らの考えを変えてまで独裁者の撮影に踏み切った。そんな彼の熱い思いが伝わってくる作品。
チャップリンが「独裁者」を撮る前にマルクス兄弟が「吾輩はカモである」で独裁者をテーマにしたコメディ映画を撮影しているが、政治色の強すぎると評判が悪く、マルクス兄弟の人気の終焉のはじまりとなった。こうした流れを知った上で、敢えて政治色の強いコメディを撮ったチャップリンの伝えたかったメッセージを、ぜひ感じてほしい。