もこもも

新・男はつらいよのもこもものレビュー・感想・評価

新・男はつらいよ(1970年製作の映画)
4.2
幼稚園の春子先生への恋と競馬で手にした100万円で叔父さん叔母さんにハワイ旅行を贈ろうとする寅さんを描いた男はつらいよシリーズ第四作

小林俊一が監督を務めた作品
今作は特に笑いの要素が強かった
でもラストはしんみり感動させられて
作品と寅さんへの愛が深まっていく
貧乏やけど太っ腹で心が広いところ、
身の丈に合っていなくても惚れた女に
真っ直ぐアタックしていく愚直な姿、
辛いことがあっても前を向いて
笑い話で人を楽しませる粋な姿に
寅さんへの尊敬と愛おしさが増すばかり
OPとEDが回を増すごとに沁みてくる

「馬は嘘つかねぇからなぁ」

競馬で名前に親近感を抱いたワゴンタイガーに
全財産を費やして勝利し、さらに連勝を重ねて
100万円を手にした寅さんが帰還

名古屋からタクシーで帰ってきたり
さっそくみんな集めて宴を開いたり、
このすぐ調子づく感じが愛らしい
叔父さんと叔母さんにハワイ旅行を
贈ることに決めるときは渋ってたけど
行くと決まればうきうきな叔父さん叔母さん好き

旅行会社の社長がハワイ代の金を
持ったままドンズラして旅行は中止に...
社長に裏切られて寅さんを悲しませた
登くんのことを想うと胸が痛い...
大見得切ってハワイに向かったもんやから
3人がこそこそ帰ってくるところ可愛い
叔父さんたちに恩返ししようと思う
寅さんの気持ちも分かるから
叔父さんたちとの喧嘩は心痛いなぁ
前作でもそうやけど、みんな寅さんを責める中
櫻は寅さんの身になるところに胸がジーンとする

今回のマドンナは栗原小巻さんが演じる
保育園の小春先生でとっても可愛らしい人
特に変わったお人形を手に取ったときの
表情が可愛くてキュンってしちゃった
ほんま、恋してる時の寅さんは止まらない

今作はほっこりするシーンが多かった
寅さんのお父さんの命日のドタバタとか、
博のアドバイスをしっかり聞いて
音楽と湖ボートを実行するところとか、
悲しい恋の小説で泣く寅さんと叔父さんと
それを観て笑う叔母さんと春子先生とかとか
寅さんが春子先生に彼氏がいることを
気付かないようにみんなあたふたして、
彼氏に気付いた時に慌てて逃げようとして、
寅さんを恐れたり心配するところも大好き
ほんま台風が来て去っていくような感じで
笑っちゃあかんけどめちゃめちゃ笑った
叔父さんの「俺は知らねぇよ」が大好き

「叔父ちゃん、叔母ちゃんよ
 毎度のことながらまた笑い者になっちった
 俺は旅に出るぜ、
 なぁ、また今度もよ
 何一つ恩返しらしいことはしてやれなかったな
 そのうち必ず、必ずいい目見さしてやるからよ
 勘弁してくれよ、体だけは大事にしてな
 2人仲良く長生きしてくれよ」

めちゃめちゃしんみりするやん...
めちゃめちゃ心温くさせてくれる
これこそが不器用な寅さんの心の本音
叔父さん、叔母さんに対する
愛と感謝にとっても心震わされた
待ってる人がいること、
帰る家があることの有り難さを感じる
もこもも

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