わいのてん

フィリップ、きみを愛してる!のわいのてんのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

前々から非常に気になってはいたものの観れず、たまたまhuluで配信しているのを発見し今回やっと観た。

まず何より、天才詐欺師モノっていいよね、面白い。しかもそれが基本的には上手くいく爽快感は堪らない。これまでの映画でも天才の詐欺師を観たけどここまで豪快な天才詐欺師は初めて観た。しかも実話とは、事実は小説より奇なりってやつですよ、ヤバい。

次にユアンマクレガーが可愛い。仕草が可愛い。後半はほんとうに乙女だった。しかし、若干しつこさを感じるところもあった。でもかわいいからいいよ!許す!


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スティーブンはフィリップを愛する男になるまで、何者にも完全にはなれない存在であった。息子であることもよき夫であることも、本人が養子であることやゲイであることを自覚している以上、表面上そうみえても完全な息子にも夫にもなれなかったのである。それは、詐欺師となったそれ以降の人生でも同じことだ。しかし、本作の本当のラストによってスティーブンを愛する男になれたのである。
実際の話が感想で書き込まれているように、スティーブンは愛するフィリップとの別れによって脱獄を辞めたようである。確かに、愛という原動力によって行われた脱獄は失われたかもしれない。だが、スティーブンはフィリップを愛することによって、はじめて何かになれたのである。息子や夫など何者にもなれなかったスティーブンであるが、「フィリップを愛する男」というものになれたのだ。その人生は、終身刑であっても絶望的ではないことは、ラストシーンの笑い声で明らかだと思えてならない。