シネマアイリスで『海炭市叙景』とセットで見られる機会に恵まれた。

佐藤泰志の高校時代1967年第一次羽田闘争のアーカイブ映像、生前佐藤が一時東京から函館へ戻って母の仕事を手伝っていた時の貴重な映像、佐藤の友人や高校の恩師、佐藤が世に出るきっかけとなった「北方文芸」関係者へのインタビュー、佐藤の出身高校である函館西高校の生徒が佐藤の高校時代を演じるドラマで構成されている。
小説での強い表現欲求とそれを作品化する高校生離れした高い技術力を持った高校時代の佐藤と、交流のあった人達を函館西高校の生徒が演じているのは垢抜けた現代っ子が演じている感がなく違和感はなかった。
函館滞在中に見たので、市電に乗っている時に登場した菊水小路が見えたり、函館西高校の近くを通ったり、佐藤が友人と行ったジャズ喫茶「想苑」に行ってみたりした。
作家として認められる前の佐藤の“ビギニング”として興味深く見ることができた。
『きみが死んだあとで』を想起しながら見た。

《佐藤泰志（1949～1990） 北海道函館市出身。
　
1967年10月8日、羽田空港に通じる「弁天橋」でおきた学生と機動隊の衝突。
その現場で一人の学生の“18歳の命”が喪われた。
函館西高校3年の佐藤泰志は、その“衝撃”を渾身の思いを込めて書き上げた。
　
その「市街戦のジャズメン」で第5回有島青少年文芸賞（主催 北海道新聞社）優秀賞受賞。
　
しかし本紙面に載らず、翌1968年「北方文芸」に掲載。1981年「君の鳥はうたえる」から、芥川賞候補5回、しかし受賞できず。

1990年自ら命を絶つ。
　
作家 佐藤泰志 没後35年。
いま 甦える「市街戦のジャズメン」誕生秘話。》シネマアイリスの作品紹介より

市街戦のジャズメンがもっと評価されるべきという切り口はわかるけど、佐藤泰志の母校の生徒たちによる再現ドラマ見せられるのはよくわからん。

2025/10/04 元町映画館