原作小説にある、筒井康隆が俗物を描く際の活き活きとした筆の勢いがそのまま映画でも感じられた。高慢で嫉妬深く、下品で胡散臭いというブンガクシャ特有の臭気のようなものがプンプンと感じられて嬉しくなった。
基本的に碌な人間が出てこない。しかし、文学論で喧嘩になりバットを振り回したり、放埒な肉体関係を持ったり、バーで暴れてビール瓶を人の頭に叩きつけるような無茶苦茶に一種の憧れもあるので、なんだか羨ましくも思った。
文学がまだ力を持っている当時の空気も感じ、ノスタルジックな気分になれる。
完全にコメディ映画なのだが、ふざけ方が丁度よい。この手の映画は塩梅を間違えると耐えられないほどに薄ら寒くなるものだが、コメディが苦手な自分にも最後まで楽しむことが出来た。
劇中曲にクラシックを多用しており、それが実に安っぽいのだが、その安っぽさがかえって作品のテーマや雰囲気と合っており上手い。
ブラックコメディとして良くできた作品だと思う。
終盤に本を燃やすシーンあり。
良い。