文学賞殺人事件 大いなる助走の作品情報・感想・評価・動画配信

「文学賞殺人事件 大いなる助走」に投稿された感想・評価

K

Kの感想・評価

4.2
普通のサラリーマンの青年がほんの出来心で自分が勤務する会社のスキャンダルを暴露する小説を書いたことで文学賞の受賞戦争に巻き込まれていくコメディ。

文学界の裏のおかしな権力構造、文学界での成功の裏の歪みや汚い部分がしっかり皮肉って描かれていて面白い。

普通の青年が取り憑かれたように豹変していく様を佐藤浩市が熱演。

ラストまで皮肉たっぷり。面白い。
濡れ場が無駄に長いし、もっとコンパクトにまとめてほしかった。が、「俺のケツの童貞返せよ!」のブチギレからの殺人ラッシュは最高に面白い。飲み屋で酒瓶持って暴れる筒井康隆にもわろた
自作が貶されたら金属バットを振り回して部屋を破壊し、身を削って直本賞受賞工作をしたのに裏切られ、その私怨を創作意欲に昇華させても無視されたら射殺していく。最高じゃないですか。
ずっと世界の内側からしか自分の居場所を認識しようとしなかった人間が、ある事件をきっかけに「結局俺は何者でもないのかもしれんな〜」となんとなく気付いていたことを吐露してしまうラストが泣ける。
pika

pikaの感想・評価

4.5
今頃筒井康隆を読み始めドハマリし、本作の原作を含む長編11冊短編集10冊関連本2冊読んでまだまだ沼へ突っ走って楽しんでる最中、休憩がてら映画化作品でもと見てみた。

エロありドタバタありギャグ満載の上しんみりさせつつ風刺も盛り込んでと、筒井康隆の世界観を見事に映画化しててぶったまげた。原作を踏まえた上で映画でしかできないこと、超えてるところもあったりして凄かった。面白かった。
メタフィクションなのか劇内劇なのか想像なのか現実なのかあっちへこっちへ揺れまくる展開が最高。主役の市谷が初投稿した小説が「最後の喫煙者」ってのはファンサービスではなく映画オリジナル展開へのネタ振りだったのかと同時に気付かされ、筒井康隆の作品だけでなく作風をも盛り込んで活かしてみせるアレンジと怒涛の演出に痺れた。そしてあのテンションが二転するオチ!傑作!

楽しみにしていた筒井康隆のカメオ出演はカメオレベルを超えてて楽しかった。さすが作者なだけあって台詞のリズムやテンポが完璧。なるほど、あの独特な文体はこうやって言葉に発するのかと絶妙な抑揚を付けて繰り広げられる半端ない長広舌に感心。マジでグラス食べてたのワロタ。チラッチラッとテーブル見てたけど叩くだけで割りはしなかった笑。
自虐ネタを面白さへと昇華してしまう、自己批評性と自信とを織り交ぜた筒井康隆ならではの自作酷評展開(市谷のメイン前後の作品の題名が筒井作品と同じなのは原作にはない)もさすが笑。

原作をきれいになぞっていて「あのエピソードはあるのかな?」と思った面白エピソードもちゃんと入れてる。泡吹かせたり菓子を踏みつけたり死ぬ前に歌を歌わせたり細かいネタも。
候補通知文書の回し読みを画で挟みながら山城新伍に長広舌をふるわせるシーンは、原作の別の場面を繋ぎ合わせ、画面と音で重要な説明を同時展開させていてアレンジが上手い!
映像で見たかった総土下座シーン!俯瞰ショットで映画映えしてる。
唯一の癒やしである玉枝さん。。完全に蛇足だから仕方がないけど玉枝さんの狂った旦那も見たかった。あと東京へ来たあと「これも小説に書けるから」の台詞は入れて欲しかった。玉枝さん。。
雨の中での佐藤浩市の狂気の表情がめちゃくちゃ良かった。あらゆる心理状態になるキャラクターを見事に演じきってて凄かった。

原作を先に読んでも映画を先に見ても、どちらかだけでも両方見ても面白いわりと稀有な例かもしれない。
筒井康隆のインタビューを読むと、連載開始時は担当者にすらオチの展開は伏せたまま、というか自身もオチは決めないまま始めていたようで、連載時はあのオチが話題となりベストセラーに一役買っているであろうから、映画化する時点で小説発表時の衝撃を追体験できないし、むしろ題名からしてクライマックスあたりで起こる出来事は分かっている話だからそれを目玉にできない、まんまなぞって映画化したら単に映像化になる、ってところで映画だからこそ、後発だからこそ加えているアレンジが上手い。映画で見る意味があるし、原作を超えつつ原作通りだし、整理できないんだけど、凄いことやってるってのは分かった。面白かった。
桜井薬局セントラルのラスト
文学界のばくろってか。
踊らされた男権威への落胆

私たちのやってることは日本の文化のためになってるんだろうかねー。

これ最終上映。
犬歯

犬歯の感想・評価

-
石橋蓮司のセックスシーンでかなり笑った。筒井節とバブル期のとんちんかんな雰囲気とがいい塩梅に混じってたと思います
原作未読で今回初見。これがアマプラで観れるとはすごいね。
内容は毒たっぷりに文壇を切ってて刺激的。ブラックな笑いもあって楽しめた。蟹江敬三や石橋蓮司なども味があって最高。中島はるみさんがとても綺麗だった。
高校時、凶悪な筒井ウイルスにうっかり感染し重症化、いいかげん完治したかと思いきやまたも再発でまた5冊ほど文庫買い漁りまた読み耽る今日この頃。その中の1冊を映画化した本作また観るほどまた重症化してしまってコロナどころじゃない。ほぼ原作通りというか原作の目次的場面場面。なんだけど主演佐藤浩一はじめ各役者のハマり具合が非常に楽しく、ぴちぴち浩一が男色作家にバコバコハメられる場面とか楽しすぎる。原作まんまの台詞をまくし立て暴走し破壊する凶悪SF作家筒井康隆を演じるのはもちろん筒井康隆本人。小説内小説の構造が小説と同じになってるマトリョーシカ構造。どうやら完治不可能な筒井ウイルス。皆んなかかってしまえっ。
㊗️新作刊行。
事実かはさておき地方同人誌事情と文学賞裏話を赤裸々に描いた。
良くも悪くもこの年代の日本のギラギラ感が強く感じられる作品であった。
エンタメとしては面白いが映画としての体は役者の演技に支えられて保てたと言えるだろう。
文芸のド素人が
勤め先のブラック企業を舞台に
小説を書いてみたら
案外評判になっちゃった!

このお話の登場人物は
どいつもこいつも嫉妬深すぎる・・・
イチタニくんの直本賞落選の
電話を受けた際のトリマキ
→バンザーイ バンザーイ(笑)

こういう文壇モノのストーリーって
基本的に当事者が書いてる訳だから
実情に基づいてる、とまでは
いかなくても
実情を多少は反映してるはずだから
闇が深いね!
   
2021.2.3
>|