ハレルヤ

スターリングラードのハレルヤのレビュー・感想・評価

スターリングラード(1993年製作の映画)
4.0
第二次世界大戦真っ只中。ソ連の街スターリングラードを制圧するために乗り込んだナチス・ドイツ軍。その1つの小隊が辿る過酷な運命を描いた戦争映画。

同名映画でジュード・ロウ主演の2001年製作の作品が有名。あの作品はソ連側の目線で描かれていたのに対して、本作はドイツ側の目線で描かれています。東西ドイツ統一後の大きなプロジェクトの1つが本作の製作。自国の負の歴史に踏み込んだ内容になっています。

冒頭で主人公たちが招集前にイタリアの暖かいリゾート地で過ごす様子がありますが、それが後のソ連での壮絶な雪国の戦いと良い意味で相反する形になっていました。

想像を絶する地獄のような戦場。「プライベート・ライアン」ほどでは無いものの、激しい爆発や銃撃戦、戦車との戦い。おびただしい死体の山。それに群がるネズミや下半身が吹き飛ばされた兵士。住民の虐殺、そして見ているだけでもキツい極寒の地で寒さに苦しむ主人公たち。そういったスターリングラードでの悲惨な戦いの描写は本当に秀逸。

本作では明確な善と悪の分け方は無く、誰がヒーローでもないし、ひたすら戦場の冷酷な実態を叩きつける内容。見ていて最後まで心が痛むような場面の連続。

主演は後に「戦場のピアニスト」「タクシー運転手 約束は海を越えて」など国を問わず多くの作品で活躍するトーマス・クレッチマン。戦場での出来事に疲弊しきり、自分を見失っていく少尉を好演。

時間も長めで重苦しい空気がずっとのしかかる作品ですが、一見の価値はある作品だと思います。
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