蛸

ディセントの蛸のレビュー・感想・評価

ディセント(2005年製作の映画)
4.2
10年前の映画にこんなこと言うのもなんだけど、素晴らしくフレッシュな映画。ざっくり言うと、洞窟を探検する女性たちが地底人に出くわすっていうお話なんだけどここでしかお目にかかれない恐怖表現が盛りだくさん。
まず洞窟の中の閉塞感描写がすごい。まさしく「息が詰まる」とはこのことだいうような描写が始終展開される。このシチュエーションから生まれる恐怖感は今尚新鮮だと思った。さらに、しばしば披露される思わず目を背けたくなってしまうほどのあまりにもリアルで痛々しい怪我の描写がこの映画の「厭さ」を加速させる。いつ命が失われるかもわからないサスペンスの連続で、地底人が出てくるまでの前半でさえとてつもなく面白い。後半ではそれに加えて仲間内のドロドロとした人間関係が描かれる。
そこからの絶妙に気色悪い地底人たちとの死闘!。
洞窟はまんま深層心理のメタファーとして機能している。過去のトラウマを抱えた主人公がその奥へと進むためにはとてつもない苦難が伴う。これは非常に納得の展開だと思う。
個人的にラストシーンは順番に『ゼログラビティ』『恐怖の報酬』『キャリー』を彷彿とさせた。
洞窟を舞台にした映画なので画面の大半が暗闇、という状況が続く。そのため映画館の暗闇の中で鑑賞すべきだと思った(もしくは部屋を暗くして)。
強いて欠点を挙げるとしたら冒頭の登場人物紹介的なくだり(15分程度)の退屈さか。
蛸