ボブおじさん

グエムル -漢江の怪物-のボブおじさんのレビュー・感想・評価

グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)
3.5
パニック映画は大好きだけどモンスターパニックということでずっと後回しにしてきた作品。
この手の作品は、肝心の怪物の造形や質感などから生理的にも好き嫌いがハッキリと別れる映画ではないか?

後に「パラサイト 半地下の家族」で世界の映画界の頂点に立つポン・ジュノ監督が「殺人の追憶」に続いて放った、型破りな“怪獣映画”。本国では観客動員数が1300万人を超え、当時における韓国映画史上No.1ヒットを記録。

韓国の首都ソウルの中心を流れる大河・漢江に突然、正体不明の怪物グエムルが出現し、河岸にいた人々に襲い掛かり、たちまち市外はパニック状態となる……。

独自のユーモアと息詰まるサスペンスを自在に操るポン・ジュノ監督ならではのユニークな語り口ではあるのだが、個人的には怪物の登場のさせ方などの演出方法が好みでなかった。

この手の映画は、もう1人の主役とも言えるモンスターの登場シーンが、大きな見せ場となるのだが、いともあっさりと見せてしまう。

別にスピルバーグを真似ろとは言わないが、〝あれ?もう出てきちゃった!〟という感じで、もう少しドキドキさせてくれと思ってしまった😅

だが、それよりも何よりも肝心の怪物が理屈抜きに、どうにも好きになれなかった。
〝好きになったらパニックじゃないだろう!〟というツッコミはこの際ご容赦頂くとして、怪物が魅力的であってこそのモンスターパニックだと思うのだ。

「タワーリング・インフェルノ」「ポセイドン・アドベンチャー」最近では同じくソン・ガンホ主演の「非常宣言」などパニック映画は、自然災害、人的災害問わずその設定条件が肝である。モンスターパニックにおける設定条件とは怪物に他ならない。

同じく〝怪物〟を題材にした映画でも「ジョーズ」や「ジェラシックパーク」「エイリアン」は大好きなので、おそらくあの怪物そのものが好みでなかったということだろう。

同じ不気味な怪物でも「エイリアン」は好きなので、グエムルのどの辺が嫌いかと聞かれると言語化できず説明に困るのだが…

おそらく恋愛と同じで、嫌いになるのに論理的な理由などないのだろう。兎にも角にも嫌いなものは嫌いなのだ😅



〈余談ですが〉

※映画「ミスト」に関するネタバレを含みます。



気色悪い怪物が出てくるパニック映画としてフランク・ダラボン監督の「ミスト」も有名だ。

スーパーマーケットに閉じ込められた人々に外部から正体不明のモンスターが襲い掛かるパニック映画だが、このモンスターもグエムル同様そのフォルムが好きになれなかった。

にも関わらず、私の中で「ミスト」の評価は高い。それは外部から迫るモンスターの他に、スーパーマーケットの中での〝人間の集団心理〟という もう1つのモンスターを登場させ物語に厚みを出しているからだ。

本作と比べても個人的には圧倒的に「ミスト」の方が好みである。

もっとも「ミスト」は、モンスターとは全く別の問題で、賛否が大きく分かれる映画ではあるのだが😅