このレビューはネタバレを含みます
『韓国映画 この容赦なき人生』から
観たの何度目かのはずなんだけど、こんなに面白かったっけと
娘を怪物に攫われた父親(ソン・ガンホ)とその家族(弟(パク・ヘイル)、妹(ペ・ドゥナ)、父)が、娘を取り戻すために怪物(グエムル)と闘うモンスターパニックムービー
結末は冒頭に示唆されていて、父親は最終的には他人の子どもを救うことになる
途中、セジュが「売店に住みたい」といっていたところも然り
ただ、娘のヒョンソは攫われた下水溝の中でこの他人の子どもセジュを助けているわけで、ヒョンソの自己犠牲の上に救われたセジュをカンドゥ(ソン・ガンホ)が更に助けた形だ
この映画でも、警察の当てにならなさは酷かったが、病院から脱出するときにソン・ガンホが追いかけてきた警官(話を聞かなかったやつだ)をペイってするのがよかった(このシーンは音楽もコミカルだ)
キャストも色々と楽しくて
ソン・ガンホやぺ・ドゥナは言わずもがな
弟役のパク・ヘイルと病院から家族が脱出するのを助けたパク・ノシクはどちらもポン・ジュノの前作「殺人の追憶」にも出ている
パク・ノシクは前作では知的障害者の役で、今回はヤクザな(?)役所で面白い
パク・ヘイルも前回は不気味な容疑者だったのに今回は大卒のフリーターという役どころ
2人とも前作と対照的で振れ幅が凄い
今観ると、コロナのような疫災を予見したような映画でもある(隔離政策、誤った情報に基づく対応、マスクを外しての咳への嫌悪感、伝染病予防法、抗議のデモ)
弟(パク・ヘイル)と妹(ペ・ドゥナ)の単独行動パートも良かった
大卒フリーターはこの辺りから少し頼りがいが出てくる
ラストシーンでは、肝心のところで火炎瓶を投げ損ね、ペ・ドゥナがカバーする演出も楽しい(振り向きざまがカッコよすぎる)
「ウイルスなんてないんだ」って言いながらソン・ガンホの手術を強行させたり、冒頭のホルムアルデヒドをハンガンに流させたりするくだり、米国の介入への風刺が効いている
好き勝手やりよる
病院から家族が脱出した後で、売店に戻ってご飯を食べるシーンも、好きだ
ヒョンソがいるような演出で、人数の割に狭い食卓を囲うのは韓国映画だとよく見るけど、カップラーメンの3分を待つ間とか、ヒョンソの口に代わる代わる食料を突っ込むとか、韓国における家族の関係性の深さや、子どもにはやっぱりご飯、という思想が表れている
ここ、会話ナシのシーンなのが凄い。それでもこれだけ伝わる
思えば、この後で父親がカンドゥの良さを語っているのは死亡フラグ(死んでしまったのは残念だ)
いやー、面白かった