SANKOU

プラトーンのSANKOUのレビュー・感想・評価

プラトーン(1986年製作の映画)
4.7
冒頭から新兵の着任と共に映し出される死体袋、死んだような目をした兵士たち。理性も善悪の区別もつかない地獄のような場所。希望はいつか来る除隊の日を待つことだけ。戦場で戦っている兵士たちは国では職がなかったり、貧しかったりと行き場がなく志願せざる負えない状況だった人達が多い。そのせいもあってか、戦場で憂さ晴らしをするように農民の女性をレイプしたり、無抵抗な人を射殺したりと、目を覆いたくなるような卑劣な行為をする者もいる。戦場でのリアリティのある心理描写や、戦闘シーンの激しさに圧倒されるが、観ていて感じたのは虚無感と不快感。果たして何と戦っているのか、何のために戦っているのか。仲間同士での派閥争い、戦闘に乗じて仲間を殺す行為、そこには正義感もなく、あるのはその場の欲求を満たすだけの愚劣な感情。志願兵のクリスがこの地獄のような環境に自らを適応させて行く姿に、逞しさのようなものを感じてしまうが、この戦争が終わった後に彼に残されるものは何なのだろう。この戦場で生き残る為にはそうするしかなかったのかもしれないが、改めて戦争がいかに人を肉体的に精神的にも殺すものだということを考えさせられた。
SANKOU

SANKOU