復活のよにだ

ATOMの復活のよにだのレビュー・感想・評価

ATOM(2009年製作の映画)
3.0
日本の鉄腕アトムを原作とした香港とアメリカ合作フルCGアニメ映画。

アトムの誕生を中心としたストーリーだが、それぞれのキャラの印象や細かなストーリーが原作とは別ものとなっている。

第一印象としては「アトムが可愛くない」。
やはり手塚治虫のキャラデザは素晴らしいと思うし、それを自分流にアレンジして違和感のなかった浦沢直樹もすごいと思う。ただ、今回は似せ方が中途半端で微妙だと感じた。

そして、原作のアトムは子供でも楽しめる痛快なエンタメの中にしっかりと社会風刺を入れている所が作品の核だと思うが、今回はそれが下手すぎる。
そもそもエンタメとしての楽しさが圧倒的に足りない。
わりとアトムって「人間は理不尽」という感情が強めな作品だと思うが、アメリカアニメだからなのか、そういう心を揺さぶってくる要素がほぼ排除されている。

敵として描かれる大統領も「善と悪の戦いでは悪が勝つと決まっているのだ、わたしを見ろ!」みたいなセリフを大声で叫ぶようなテンプレなアメリカンな悪役でなにも葛藤がない。
なんだかなぁ…と思ってしまう。
CGのクオリティは素晴らしいのに。


ただ、全編に渡って原作へのリスペクトを随所に感じた。
スタッフの作品愛を感じるのはとても見ていて楽しい。

エンドロールが英語表記と中国名が併記されていたが、その漢字の人数に驚き。
今現在の中国フルCGアニメのクオリティの高さに納得してしまった。
復活のよにだ

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