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ハスラー2のarchのレビュー・感想・評価

ハスラー2(1986年製作の映画)
4.6
ロバートロッセン監督、ポール・ニューマン主演の名作「ハスラー」の続編をマーティン・スコセッシは見事に完成させた。

ビンセントとエディー、カルメンのハスラーの一攫千金の旅。
実力を隠し、相手を騙し、ここぞという所で相手から金をぶんどる。
そこにはメンターとしての前作の主人公の元ハスラーであるエディーと、才あるも若さゆえに自分を抑えられないビンセントの師弟関係がある。
しかし、そこでは終わらない。今作の面白さはこの師弟の相互効果にある。
エディーはもう勝負師をやめてしまっている。それは辞めざる負えない状況に追い込まれたからだ。ビンセントには金のためにプライドを捨てろと、説く。だが、その一方でビンセントの勝利への渇望にアテられて勝負の世界に舞い戻ることになる。前作主人公を隠居したメンターとしてだけではなく、1人の勝負師への再生の物語としたのは最高に熱い。

また、それに大してビンセントはエディーによって学び、ハスラーとして力を付けていく。そして見事にエディーを騙し、大金を手に入れる。
2人は互いに影響しあい、成長する姿はハスラーとしての在り方と男としてのプライドのぶつかり合いを示してもいる。

その末にあのラスト、そこにあるのは師弟関係ではなく2人の男の闘い。
前作のエディとミネソタの闘いを思わせるその闘いはクリフハンガーとして終わらせる。素晴らしい。
ここはもうスコセッシの香る渋さのなせる技である。

スコセッシ作品で1番好きだ
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