ムッソリーニを愛し執着しすぎた女性イーダの苦悶の人生の物語です
ムッソリーニからしたらたくさんいる愛人のうちの一人でこんなに執念深く追われるのは予想外で疎ましかったんだろうな
彼へのこだわりを捨てれば幸せになれる道は何度か用意されていたのに彼に妻だと認めてもらう事以外は生きている意味がないと思い込んでいて狂気を感じました
イーダとムッソリーニの間に生まれた息子ベニートも彼女の気質を受け継いでいるのか柔軟に生きることができず悲劇的な人生を送ります
息子が可哀想…
二役しているフィリッポ・ティーミの狂気の演技も見どころです
所々で当時の実際のモノクロ映像が挟まれ新聞の見出しのようなグラフィカルなテロップが出てきます
そこに映っているのはもちろん役者ではなく本物のムッソリーニでそれを観ているイーダとはもう別世界の人間なんだと表現しているようでした
音楽が劇的に使われていてまるでオペラのようになる場面もあります
イーダが手紙をばら撒く病院の鉄格子越しの降りしきる雪の美しさから息子の心に何かが芽生える寄宿舎へと移り変わる場面
チャップリンの『キッド』を観て息子を想い嗚咽するイーダ
脱走の後、護送車がなかなか発車できないくらい皆んなに擁護される場面
独特で芸術的な演出はたまらなく魅力がありました
観終わったらかなりクタクタにはなりました