ロング・グッドバイのArsenyevichのネタバレレビュー・内容・結末

一番身近な映画仲間から突然の旅立ち宣言。
そして、はなればなれに…

記念すべきレビュー200本目はこれに決めた。またいつかの再会を願い。

深夜に愛猫の餌を買いにスーパーへ行くという冒頭のシーンから、何故か異常に引き込まれる。終始素っ裸のヒッピーも、間抜けなマフィア集団も、意味はなくてもツボでしかない。
主人公のマーロウは一体この映画で何本のタバコを吸ったのか。世間体ばかりに囚われて本来の作品の楽しみを忘れてしまった今の映画業界は、本作を参考にするべき。愛猫、名演技過ぎだろ。私立探偵の適当さ加減が住まいや小道具に至るまで滲み出ていて、タランティーノお気に入り作品というのも頷ける。

なんと言っても、一見どうでも良さそうなシーンで、ひたすら緩やかに動き続けるカメラワークが心地よい。
何も観たいのが見つからない時、深夜に微睡ながら現実から抜け出したい時、是非本作をお勧めする。

この類稀な力の抜き加減が、疲労しきった金曜日の夜に、バッチリハマったな。