危機的状況でも洒落で返そうとする冷静さ、疑いのかけられた友人のために行動する義理深さ、危ないところに踏み込む勇気。強い精神力。
ハードボイルドには、現代で忘れられそうになった男の作法が詰まっている。
ロバート・アルトマンとエリオット・グールは、チャンドラーの原作では、タフであくまで紳士的なフィリップ・マーロウを、よりコミカルで、とぼけた男の要素をつけて解釈しました。マーロウの髪型は終始ボサボサで、さらに犬に吠えられたり、猫にひっかかれたりするのは、本作独特のものであり、これがよりこの映画のマーロウの自然体さを強調し、魅力的にしている。
(今時トレンチコートを着て、キザな言葉を吐きまくるのも少し現実離れしている。)
また、アルトマンのこの映画には技巧も沢山あり、画面の隅で大事な物事が動いていたり、つなぎの部分で効果的なディソルブを使うことで、全体的に
ゆるりとした流れの映画を作り出している。カメラの動きもゆったりとしている。
様々なバリエーションで流れるジョン・ウィリアムズのテーマ曲も、この映画のジャジーな雰囲気を演出しています。
PS:ラストの曲「ハリウッド万歳」で、いきなりロバート・アルトマンらしい皮肉っぽさが現れました!やっぱりアルトマンの映画です。