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Yellow Letters(英題)
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『Yellow Letters(英題)』に投稿された感想・評価

[トルコ、政権批判をしたある芸術家夫婦の肖像] 60点

2026年ベルリン映画祭コンペ部門選出作品、金熊賞受賞作品。イルケル・チャタク長編五作目。前作『ありふれた教室』がドイツ舞台の作品だったので、本作品もドイツが舞台と思っていたが、普通にトルコだったので混乱してしまった(ベルリンをアンカラ、ハンブルクをイスタンブールとして撮影してるので、その感覚はあながち間違いではないのかも)。物語はアンカラを拠点に活動する芸術家夫婦を中心に展開する。夫アジズは大学教授であり、政権を強烈に批判することで有名な脚本家でもある。妻デリアはそんな彼の舞台で主演として活動を続けた結果、ファンを多く抱えた大女優となっていた。二人は13歳の生意気な娘エズギと共に幸せな生活を送っていた。ある時、アジズは彼を含めた政権に批判的な教授たちと共に仕事を解任されてしまい、盛況だった彼の新作も中止になってしまう。反発したデリアまで解雇されてしまった。アジズは家族を連れてイスタンブールの実家に戻り、タクシー運転手に転身することで信念を守ろうとする一方で、デリアはアンカラのマンションを売ろうとしたり、自分を評価してくれるTVプロデューサーの誘いに乗るなどして経済的な独立の道を模索していく云々。売れない理想と売れる現実のどちらを取るか、そこに家族という背景が加わるとどうなるか?という主題は古今東西様々語られてきたが、本作品ではそれにほぼ乗っかる形で最初から最後までひたすらにまくしたてるだけで終結する。トルコ語の罵り合いということでうっすらヌリ・ビルゲ・ジェイランを思い出したが、ジェイランの方が情けない男の描き方はエンタメっぽく見えるくらいに、チャタクは真面目に描いている。ただ、真面目なのはいいけど、本当に描きたかったのが何かを見失っているのではないか?中盤までは不当解雇された職員vs政治介入した国家という図式だったのが、途中から夫婦と娘の話になって似非ジェイラン化していくので、正直観てらんなかった。しかも、なんでコイツらが政権批判に"疲れた"みたいな状態に陥っているのかがマジで謎。安全圏からしか批判できないのか?この手の映画ってすぐに夫婦喧嘩→年頃の子供が逃げ出して帰ってこない→大人たちが休戦して探す、みたいな安直な流れやりがちだけど、本作品も漏れなくやってる。真面目で安直な映画だった。映画的には面白くないけど政治的には正しいって、コスリック時代の悪癖に戻ってないか?

追記(2026/02/22)
本作品が金熊賞を取ったことが、今年のベルリン映画祭の答え合わせのようで嫌気が差してくる。トッド・ヘインズがクィア映画に金熊を与えた昨年から大きく後退しているとしか言えない。