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大統領の陰謀のpicaruのレビュー・感想・評価

大統領の陰謀(1976年製作の映画)
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『大統領の陰謀』

めちゃめちゃおもしろい!!

以前、『スポットライト 世紀のスクープ』を観たとき、「アメリカに新聞社の映画をつくらせたらとんでもない傑作が生まれるから恐ろしい」とコメントしたが、それは1976年からはじまっていた。

ニクソン大統領の陣営が民主党本部に侵入し、盗聴したウォーターゲート事件。
事件を不審に思い、追求しようと奔走するワシントン・ポストの新聞記者、カール・バーンスタインとボブ・ウッドワード。
今、世界を震撼させた事件の全貌が明かれる。

ウッドワードを演じたロバート・レッドフォード。
ちょっとかわいらしくて、うーん、正確に言うと、勢いだけで突っ走ってしまう姿勢が新聞記者らしくないなーと思っていた序盤。
彼が入社してまだ一年も経っていない新米だと知り、「わ! ぴったり!」とキャスティングとその役作りにうれしくなった。
ロバート・レッドフォードの相棒はポール・ニューマンだという思い込みが強すぎたせいか、バーンスタインを演じたダスティン・ホフマンとのコンビに最初はぎこちなさを感じていた。
しかし、先輩バーンスタインのこなれた感じとウッドワードとのギャップが、かえって事件を様々な方向に転がせ、社会派映画なのにスリルあるバディ・ドラマに仕上げているからすごい。
二人とも本当にかっこいい。素直に認めます(笑)

一番好きなシーンは、新聞社内のテレビにニクソン大統領が映し出され、そのテレビの奥で二人の記者が淡々とタイプライターを打つ姿が小さく見えたとき。
虚構の最高権力と、真実に徹する報道の自由。
なんてすばらしいカットなんだ、と感嘆した。

『大統領の陰謀』は続『ペンタゴン・ペーパーズ』か。
あるいは、『ペンタゴン・ペーパーズ』こそ『大統領の陰謀』の前日譚と呼ぶべきか。

ワシントン・ポスト、そして新聞記者たちの報道の自由に対する信念、いや、執念がここにある。
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