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アカルイミライのQMのレビュー・感想・評価

アカルイミライ(2002年製作の映画)
3.7
ニッポン戦後サブカルチャー史で2000年代の時代感を表現した一本としおて紹介されてた映画。ひとまず言えるのは全く持って描かれている現在(未来)は明るくない。

序盤は町工場で働く守と雄二、町工場の社長の藤原耕太の話しが主だ。
「70年代の頃は目的が見えてた、それが忘れてる、なんだったんだろう、きれいさっぱり」と言った藤原は守と雄二の住んでる家に刷っていたタバコを玄関の前に捨てて、ずこずこ入ってきた。
その後亡くなる藤原一家、彼らを殺した雄二は刑務所へ。
守がたむろっていたボーリング場やゲーセンはどんどん営業を終了していく。
様々な閉塞感や苦しく、厳しい現実、つやっぽいクラゲとその毒、
様々な暗さがこの当時の世界を覆う中でも、
アカルイミライを目指して、尽力したふたり。
守に「未来を決めろ、行け!」と言い放つ雄二は
死んでもなお、守のために指を針金で固定して「行け」と訴える。
雄一の父は居場所のない守に
「本当に行くとこないの?ここでいいの?それならいつまでもここに居ろ」と支えてくれる。暗い現実のなかでも小さな明るさに支えられ、
守は生きていく。

2000年代を自分は小学生とかだったので、大人が感じた時代感は話なのかはわからないけど、伝えたかった時代感はよく分かった気がする。
画面のざらざらした質感も映画というよりテレビ画面のような感じもして(DVDだから画素がそんなに良くないのかな?)その雰囲気も
映画にぴったり。

それにしても皮肉なのは最後の男子高校生達。
革命をうたったチェ・ゲバラのTシャツを着て
「何か楽しいことはないかな?」と退屈そうにハンバーガー屋でたむろし、歩道に転がった段ボールを蹴って、
映画のタイトルが表示されてエンドロールである。
とにかく当時にアカルイミライは…なかったと思う。
今も…
QM

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