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新・13日の金曜日のarchのレビュー・感想・評価

新・13日の金曜日(1985年製作の映画)
4.1
本作はホッケーマスクによってアイコン化された"ジェイソン"をメタ的な視点で取り入れた作品で、「ホッケーマスクを付けたらジェイソン」という概念的な不死性を遂に手に入れたと捉えられます。それこそがジェイソンの新たな始まり。

今回はいわゆるバカ大学生的な集団が"いい気味だぜ"となるような内容ではなく、個人的かつ直接的な私怨であるのは実は初めてだったりする。だがそれはやはり理不尽さがなく、殺人鬼としての格が下がった印象はある。(別人だから仕方の無いことだが)その中でも本作の主人公は前作からトラウマを引きづったトミーで、過去の残酷な事件より"ジェイソンの恐怖"と"自らの残虐性"に悩まされることにより、その病院に訪れる。

最後までほとんど本作のジェイソンとは闘わず、彼が戦うのはこれまでの"過去のジェイソン"なのである。本作のジェイソンにとっての別のファイナルガールは用意されていて、明らかに二つのジェイソン、二つの主人公で展開されているのが本シリーズでは画期的だ。
そして最も画期的なのはラストの引きであろう。完結編である前作に対する答え、その暴力性の結末。ジェイソンは死なない、その概念的な不死性の象徴になっている。ただ、同じ怪物の力を用いて制するという考えで、自らのトラウマに蹴りをつけたという視点でも見られる。

完全に無視して続編が作られているようで非常に残念だが、かなりの出来というか試み出会ったと思う。
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