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800 TWO LAP RUNNERSの一のレビュー・感想・評価

800 TWO LAP RUNNERS(1994年製作の映画)
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好き。高校青春スポーツ映画を隠れ蓑に、曖昧な同性愛や近親愛も含むセックスがコミュニケーションの延長としてそちこちで具象化される不思議な作品だが、傑作と思う。動きの少ないシーンにしてもその逆にしても、本作もまた長回しの多用が目を引くが、黒木和雄『あるマラソンランナーの記録』を彷彿とさせるラストの800mワンカットを筆頭に、『野獣狩り』における藤岡弘よろしく人間の走りを延々と誤魔化さず映し続けるのは最早ドキュメントだ。「なにも考えていない」野村祐人はずっと素晴らしい。それとなく示される川崎ゲットーなバックグラウンドがまた味わい深い。袴田吉彦はまんま『二十才の微熱』のイメージですね。
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