松井の天井直撃ホームラン

新しい人生のはじめかたの松井の天井直撃ホームランのレビュー・感想・評価

新しい人生のはじめかた(2008年製作の映画)
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☆☆☆★★★

いや〜良かった。長い間ダスティン・ホフマンを見ているけれど、彼のキャリアの中でもかなり上位に来る演技・作品なんじゃないかな。
特に目新しい内容では無いんですが、ダスティン・ホフマンとエマ・トンプソン。この2人による豊潤な恋愛ドラマ。

娘の結婚式の為に、ニューヨークからロンドンにダスティン・ホフマンがやって来る。そしてエマ・トンプソンと知り合う。

これだけ…。これだけなんですよね。単なる“ボーイ・ミーツ・ガール”ストーリー。

ダスティン・ホフマンにとってみたら特別な演技プランはして無いんじゃないの?…って程の自然体の演技に見えた。それだけ演技に対して引き出しが多いんでしょうねぇ。
特に結婚式での場面は…いや〜泣かされました。
彼のキャリアの中でも名場面の内に入るんじゃないでしょうか。

その後のエマ・トンプソンとのダンスに、噴水の前での2人のやり取りも心憎い。
この場面でダスティン・ホフマンがニコッと口を真一文字にして笑うのですが。この笑い方って『卒業』の“あの時・あの場面”での笑い方と全く変わっていないんですよね。まるで「僕に付いておいでよ…」と言わんばかりに笑っていたあの頃と…。

そして月日は流れ、この映画のラストでは。「現実に戻りましょう。」と言うエマ・トンプソンに対して。「心配しないで…」…と、付け加えているかの様な、心の余裕を見ていて感じる。
またこの時の「本当は別れたくない…」と感じさせるエマ・トンプソンの演技も良かった!

2人が並ぶと遥かにエマ・トンプソンの方が大きいのですが、それを意識した最後がまた最高に泣かせてくれる。

大人の恋愛ドラマとして必見ですね。

(2010年2月10日 TOHOシネマズ・シャンテシネ2)