Cerro

夜のダイヤモンドのCerroのレビュー・感想・評価

夜のダイヤモンド(1964年製作の映画)
5.0
寒い。飢え、渇き。苦しさ。収容所の息づかいを何キロも手前から感じ、ユダヤ人貨物列車から飛び降りる二人の逃亡から物語は始まります。二人は、斜面を転げ落ち、川を横切って、次の斜面を這い登り、光と影が染め分けている深い森の中へと入り込んでいきます。岸や斜面の上には人影はなく、彼らの後ろには死という空虚が、行く手には無音を響き渡らせるような沈黙が支配していました。そんな静寂のなかで、ダイヤモンドのように光る二人の過去と欲望が、凍てつく足枷をはめられたかれらを寒さと暗闇が満ちている夜のなかから連れ出してくれます。この映画は素晴らしいです、本当に。心臓がキュッと、背骨がピリピリとしますよ。
Cerro

Cerro