もこもも

男はつらいよ 純情篇のもこもものレビュー・感想・評価

男はつらいよ 純情篇(1971年製作の映画)
4.1
博の工場辞める騒動と下宿する遠い親戚の夕子への恋心を描いた男はつらいよシリーズ第六作

安定した笑いや感動に加えて
今まで観てきたシリーズの中では
1番さくらの良さをしみじみと感じれた
さくらの言葉には不思議な力があるよね
真っ当で優しくて温くてほんまに好き

「でも私は二度と帰りませんよ
 でもやっぱり帰るなぁ、うん」

帰るところがあるから
甘えるってのも分かるけど
やっぱり帰る場所があって、
待っててくれる人がいることって幸せ
寅さんの「やっぱり帰るなぁ、うん」の
言い方がめっちゃ胸に沁みたなぁ

「夏になったら鳴きながら
 必ず帰ってくるあのツバクロさえも
 何かを境にぱったり姿を
 見せなくなることもあるんだぜ」

帰ってきた寅さんを見たときの
おいちゃんの表情がいっつもツボ
夕子さんにベタ惚れの寅さんを見て
怒って出て行ったさくらと寅さんの会話で、
頭では分かっても心はついて行かない話をした時に
「そうね、本当に困った気持ちね」と
さくらが笑いながらいうこのシーンは
今までのシリーズで1番と言えるほど沁みた
さくらが笑っちゃうのがほんまにいい
このシーンはシリーズ全体を通しての
お気に入りのシーンになりそう

博さんの工場辞める騒動は
完全に寅さんが悪いけど、
結果的には丸く収まったし、
タコのように昇っていくのくだりで
みんなが笑っちゃうところは心温まる
自分の気持ちを隠さずに笑ったり泣いたり
怒ったり、そういう場所があるって幸せよね

序盤と終盤で描かれた
五島列島の親子の話も感動する
特に最後の娘からの電話に涙して
一人しみじみ喜びに浸るお父さんが...
子供からの便りほど嬉しいものはないよね
自分も故郷に帰りたくなった

「お兄ちゃん、
 またどっか遠くにいっちゃうのね」

寅さんとさくらのホームのシーンも沁みる
さくらからと伝わる寂しさと悲しさが切ない
このシーンばかりは寅さんがさくらの為に
さくらの近くで真面目に働いて欲しいから
旅立たないで欲しいって感じさせられた

「さくら、故郷ってやつは...故郷ってやつはよ...」
もこもも

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