アレクサンドル・ソクーロフ監督『Mother & Son(1997)』からの『Father & Son(2003)』を。
(ジャケ写通り)親密すぎる父と息子の物語。
二人が上半身裸で絡み合うというゲイな香り漂うオープニング。息子が見た悪夢を父がなだめていたようだ。
軍隊上がりの父と軍学校に通う息子アレクセイは海辺の近くにある広めのアパートに二人暮らし。窓から広い屋根に出て過ごしたり、隣の家と繋いだ板の上(危険)を行き来したり。
父は40歳前後、息子は20歳前後の設定と思われ、父というより兄のようにも見える。
二人は鍛え上げた肉体で上半身裸なシーンも多く、部屋では至近距離で見つめ合ったり触れ合ったり、父は軍学校で訓練中の息子をじっと見つめていたり…と、一般的な父子関係ではあり得ない感じの濃密な関係。
亡くなったのか別れたのかわからない母はアレクセイにそっくりらしい。
アレクセイには彼女がいたが、アレクセイと父の濃密な関係から遠のくように去る。
この二人が窓越しに語るシーンがすごく印象的なカメラワーク。
他に登場するのは、旅行中にやってきた父の友人の息子(父の消息を知りたがっている)と、いつも猫と一緒の隣家のサーシャというアレクセイの友人男子。
やがて濃密な父と息子の関係にも変化が訪れる。
『Mother & Son』で使われていた、斜めに歪んだ映像も一部登場し、ソフトフォーカス気味な映像や、感情の読み取りにくい登場人物の表情のクローズアップで、何とも神秘的な世界。
叙情詩のような寓話のような。掴みどころのない作品でした。
しかし『マザー、サン』『ファーザー、サン』って邦題、&でつながないのは何か意図があるのかな?笑
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