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戦争のはらわたのparaのレビュー・感想・評価

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
3.9
国内上映権終了にて、現時点で劇場最終上映。

サム・ペキンパー監督。
原題「Cross of Iron」(鉄十字章)

舞台はクリミア半島、ドイツ・ロシア東部戦線。
まず冒頭の不穏さが強烈で、いきなりアッパーのように監督のセンスの良さを喰らう。
そしてラストが強烈。
映像のその先は観客の想像に委ねられる。
カリスマ性溢れるシュタイナーを演じるジェームズ・コバーンが渋くカッコいい。
高笑いもまた不気味だ。

戦場シーンは妥協を許さない監督が火薬を大量に使用したらしくCGのない時代に臨場感溢れるこのド迫力。
しかもあのT-34(実車)も登場する。
本当に凄い迫力だ。
戦争は憎しみと死しか生み出さない。
その中でブラント大佐が取る、戦後ドイツを考えた行動が描かれるのは小さな希望。

ドイツ軍からの視点の映画(セリフが英語なのはちと残念)で、反りの合わない大尉と曹長を中心にして描かれる。。

ドイツ軍と一言で言っても、ナチもいればそれ以外の人もいて、それについてもよく描かれている。(シュタイナーのいる部隊には、ナチ少なめ)
『彼らは生きていた』でも言及されていたけれど
ドイツ人と言ってもバイエルン人とサクソン人は性格が穏やかだけど、プロイセン人は礼儀がなく荒々しいと。
まさにシュトランスキー大尉がそうなのだ。
(恐らくそれであの役柄設定。
ナチスはプロイセンに対抗意識を抱いていたバイエルン人によって作られたので、大尉はナチでない。)
マクシミリアン・シェルはドイツ将校が似合います。

ロシアの少年が可哀想…
ロシアの少年はラストの伏線だったのか。

2020年劇場鑑賞見納め。
神経質なくらいに対策しながらも、この状況下で我ながらよく通いました。
2021年も映画館でこその体験を求めて、通えることを願います。
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