TaroSonoda

戦争のはらわたのTaroSonodaのレビュー・感想・評価

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
4.0
バイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパーによる戦争超大作。
皮肉たっぷりの狂気に満ちた映画でした。ドイツ側から描いた戦争映画としても価値のある作品だと思います。

まず、童謡「蝶々」で始まるオープニングからその狂気に満ちた世界観へと一気に引き込まれます。
戦闘シーンでは、ペキンパーらしい過激な暴力描写・超スローモーションが多用され、登場する兵器も極めて忠実であり非常にリアリティ溢れる映像となっています。
とても70年代の映画とは思えないほどの迫力です。相当予算掛かってそう……
また説明なしにいきなりフラッシュバックする演出も、戦場が帰るべき家になってしまった主人公の混沌とした心情を上手く表しています。
そして何といっても有名なラストは非常に衝撃を受けました。「博士の異常な愛情」と並び、脳裏に焼き付く強烈なラストだと思います。

この映画では、敵味方関係なく中立的な視点から戦争の醜さそのものを描いています。少年兵を平気で撃ち殺す兵士、自分の出世にしか目のない上司、敵軍女性への暴行をする男たちなどリアルに描かれています。
また、主人公の徹底した反権力的な性格は、様々な批判をされながらも生涯自分のやり方を貫いていたペキンパー監督自身なのかもしれませんね。

戦争というものを知る上で、一生で一度は観る必要がある作品だと思います。
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