M少佐

戦争のはらわたのM少佐のレビュー・感想・評価

戦争のはらわた(1977年製作の映画)
5.0
 血まみれサムの残酷絵巻。

ソ連とナチスが一進一退を続けるクバン防衛陣地。
そこに赴任した貴族の将校。
彼は野望に取り付かれていた「鉄十字章一級」の叙勲に・・・
その部隊には皆から頼りにされるシュタイナー軍曹の姿があった。
彼の胸元には歴戦の証、鉄十字章一級がぶら下がっていた。
その後、ソ連の猛攻にも果敢に立ち向かうシュタイナー小隊ではあったが戦力の比嘉はいかんともし難く、後方に取り残される。
しかも妬みに駆られた赴任したばかりの(一応直属の上司)貴族将校の罠にはまり、仲間は次々と倒れ自らも傷つく。
彼はけりを着ける為に彼の将校の元へと向かう・・・

正直、男なら格好いいと思ってしまう。
しかし、現実に照らし合わせたら、ここまで残酷な話はない。
肩の一個の星一つで人の価値が決まり胸の一つの勲章で人生が変わる。
幸せな死に方なんてないかも知れないが、それよりも残酷な死が戦場にはいくらでも転がっている。

この映画には英雄は出てくるが我々の思う英雄ではない。
状況がそうさせてしまった、本人も望んでなったかすら解らない英雄が。

でも見終わった後に残るのは皮肉な感情と空しさ、それと納得のいかない胸糞悪さ。

必見です。
M少佐

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