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シッコのvivoのレビュー・感想・評価

シッコ(2007年製作の映画)
4.0
あいかわらず飽きさせない構成が巧い。医療は教育や通信と同じように社会のインフラとして何人にも保証されているべきものだが、特権層の利益のためにイデオロギーを持ち出して国民を煙に巻く描写や民間保険に潜むリスクにゾッとした。民衆で構成された巨大産業の利益が民主社会を否定するのは皮肉な構造だ。支配者は同時に被支配者でもあり身動きが取れない、というか取らない。だからいったん間違った方向に動力が生まれたらそれを変えることはとても難しい。それにしても、いろいろな出来事を振り返ってみると、結局のところ、不利な立場に立った人間が平等を求める意思こそが最も強く、新しいうねりを生み出すきっかけになるのかもしれない。資本主義とか社会主義とかに関わらず。
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