高橋早苗

レイチェル・カーソンの感性の森の高橋早苗のレビュー・感想・評価

3.5
「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないのです。



有名な「沈黙の春」も
「センス・オブ・ワンダー」も
読んだことはなかった
どこか、難しそうに感じていたのかも
だから映画に飛びついたのかも。



ひとつ驚きなのは
ドキュメンタリーのようでいながら
ある女優さんの一人芝居『センス・オブ・ワンダー』を翻訳したもので
同じ方が出演されているということ
もちろん、演じているのはレイチェル・カーソン。
彼女の最後の1年を演じる。

…なまじ本人を知らないから
すんなり入れた。


夏の終わり
メイン州の海岸にある彼女の別荘で
もう本宅へ帰らなくてはならないのに

荷造りが進まないと こぼしながら
実は帰りたくないのだと 打ち明けながら
作家になりたかった大学時代から「沈黙の春」を書くに至るまでを話す


ここを離れたくないといった彼女の顔
森を歩く姿


1962年に出版した『沈黙の春』
世界で初めて化学物質が環境に与える危険性を告発したこの本は
アメリカ政府がDDT(有機塩素系の殺虫剤、農薬)の使用を禁止する法律を制定するきっかけとなった


転じて
夏の別荘から帰ってきた彼女は
講演の原稿が進まないと 心配しながら
「沈黙の春」以後を話す
プライベートがなくなってしまったこと
受け続けた中傷や攻撃
公にはしなかった病のこと・・・


残念ながら、法律は制定されたけどDDT、まだ使われているよね。
「フード・インク」で観たばかりだもの。
一度法律が作られても
今度は規制緩和とばかりに
抜け穴を作るのがアメリカンねぇ。
(嫌味よもちろん。)


『自然と触れあえば 自然と恋におちる
 それこそが 地球を守る唯一の方法なのです』
…カーソンを演じたカイウラニ・リーの言葉



触れあうほどの自然があるのかと揶揄する前に
周りにどれだけ自然を感じられるか

なのかな。
感性って そんなものじゃないのかな。


街の中の自然と
手つかずの森と
どこにいても 何も感じることができないとしたら
同じだろうから。

スクリーンで
知った気になってるだけじゃね・・・
と諭されているようにも感じた。
高橋早苗

高橋早苗