
ひとりの若い音楽家は、音を探す旅の途中で、群馬の山里に辿り着く。 マイクを向けた沢のせせらぎの音、その奥にある実態を持たぬ「声」。 偶然その地を訪れたA 子は、現地の人々や遺族の証言に触れ、山へと足を踏み入れる。 そこには墓標、慰霊碑、そして静かに響く自然の音。 彼女の耳、いや「心」は、失われた声と残された声のあいだに存在する「音」を拾いはじめる。 やがて、記録された声や音は再構築され、音楽として再び世界に放たれる。 それは、祈りであり、弔いであり、未来への希望を含んだ「響き」となる。 フィールドレコーディングと証言の断片から紡がれる、ある若い女性の旅路。 空に残る線を指でなぞるように、過去と現在、そして未来をつなぐ、ひとつのドキュメンタリー。