組織内の不和に悩まされているギャング団リーダー（チャールズ・ブロンソン、今作で初主演）が、情婦と共謀して実業家の娘を誘拐する。1933年に逮捕された実在のギャング、ジョージ・ケリーをモデルにしている、フィルム・ノワール。

分解したマシンガンを肌見離さず持ち歩くことにより、死の恐怖から逃れようとしている主人公が、破滅的なアウトローの沼に嵌まってしまう。弱さをひた隠し、去勢を張り続ける自分自身を忌み嫌う。そんな、屈折した男の人生模様。

情婦役を演じるスーザン・キャボットの悪女ぶりが説得力満点であり、コケティッシュかつミステリアスな魅力が炸裂している。そして、どう見ても幸せになれないであろうカップルのジタバタ劇に一喜一憂することができる。

惜しむらくは、低予算の小規模撮影のため、"主人公のギャング団が一般社会に与えている影響力"というものが、イマイチ伝わってこないところ。その一方で、「ならず者の生き様に根源を見いだす」という、コーマンの信条が伝わってくるところはグッド。

記録

珍しい作品をフィルムで。

男の映画ではあるものの、女が特権的位置を獲得している点では女の映画といえる。

高揚感や異常なテンションが宿ってはおらず、これといった独得さもあまり見出すことはできない。しかし、劇伴の流麗さ、編集の流麗さがそのまま冒頭の強盗の手際の良さになっているのは面白かった。チャールズ・ブロンソンと四駆の運動の同調をパンで追うキャメラは素晴らしかった。

脇役時代のチャールズ・ブロンソンを起用した本作、彼よりもスーザン・キャボットの煌めきに目を奪われたわけなんだけども…

相対的に『あらくれ5人拳銃』の評価が上がった。

R.I.P.ロジャー・コーマン

2024,211本作（劇場88本目）8/3 プラネットプラスワン

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RIP ロジャーコーマン

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