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アイガー北壁のnaokkoのレビュー・感想・評価

アイガー北壁(2008年製作の映画)
4.8
登山というジャンルは小説、映画ともに好んで見る。その中でも、この作品には度肝を抜かれた。

超難関のアイガー北壁の初登頂を目指す登山家たちのお話。
その装備はあまりに貧弱。手作りのハーケン、ただの綱なザイル、毛糸の手袋(!)
小さな選択が積み重なって、少しずつ若者たちの行く末を狂わせていくのは見ていてずっとハラハラ。そうならないでって、、祈る気持ちで涙出ます。実話ベースだから結末は決まっているのだけど、知らずに見て欲しい。

あと注目は登山家たちを取り巻く人々。
貧弱装備で、お金もなく、麦スープだけ食べても夢を追う若者と、豪華ホテルで晩餐、ぬくぬくと登山をショーとして楽しむ人たち。その対比はあまりにも残酷。
ヒロインも、無責任にチャレンジを後押しした上に、功名心に囚われてどこか浮ついてて。
だいたい登山物では周りは成功を必死の思いで祈るように描かれるから、この他人事感は逆にリアルに感じた。

古い映画でCGもない中、ものすごい物を撮ったな。ぜひ見て欲しい!
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