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幽霊列車のmitakosamaのレビュー・感想・評価

幽霊列車(1949年製作の映画)
3.2
デアゴスティーニで初観賞。これは掘り出し物かも。
ホラーのテイストをちょい匂わせたコメディミステリー。時代もあって全体的には雑な所も多いんだけど、なんか三谷幸喜みたいな印象を受ける。

田舎の温泉街にある駅舎が舞台。温泉に向かうバスが豪雨のなか故障して引き返す。駅舎で一晩明かすことになった一行に、駅長は幽霊列車が来るので駅に泊まることを拒むが…
という内容。
元々はラジオドラマだったとのこと。
駅舎という密閉空間での群衆劇が演劇っぽいし、人気芸人の多数登場しキャラの掛け合いも多い。いかにも三谷作品じゃないですか。
主演が柳家金語楼、サブにエンタツ・アチャコなど。
金語楼が好々爺な佇まい。「サントリーの12年物」を何故かDDTと書いてある瓶に入れて飲んでるんだ(笑)
エンタツアチャコは安定の存在。社長と秘書の関係ながら二人とも常に女の人にのぼせ上がりお互いに出し抜こうとする。
あとは知らない役者さんが多いけど、強いキャラが多く見飽きない。傷痍軍人やら歯痛やら、睡眠剤が無いと寝れないと爆睡するおじさんやら。

途中から現れる美人のキチガイ女(劇中ママ)が、笠木シズ子の東京ブギウギで狂ったように踊るシーンとか本当に楽しいのよ。
因みにオープニングの曲はオリジナルの幽霊列車のテーマだが、これもブギウギっぽくて超ファンク。

更に、山中のバスのシーンと列車が崖から落ちる回想シーン、これはミニチュア特撮。担当は円谷英二なんだな。これも見所。

戦後すぐの時代設定だけど、今なら脚本をもっと詰め込めるし、こういう隠れた傑作こそリメイクの対象になるべきだと思うんだなぁ僕ぁ。
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