おはうち

北京的西瓜(ぺきんのすいか)のおはうちのレビュー・感想・評価

3.0
劇映画を観ていると思いきや、テロップで「1989年 6月 中国」でしたか、一気に別の映画だったんじゃないのぉーッ!!と逆さまになった気分。映画と現実(天安門事件)が拮抗していた真実。『ホーリーマウンテン』かっていう、虚構であると宣言すると血の気が引いていく。

ロングショットが多い。市場、八百屋、飲み屋、食卓、人々がガヤガヤしている日常こそが面白い。時折、心に迫った時はクローズアップにして役者の顔を丁寧に差し込んで、感情の機微を伝える。もたいまさこの顔の変化が面白い。

ベンガルが中国人の留学生に肩入れしまくっている傍らで、もたいまさこの顔に破壊力を持ち始める。なーんか、この顔は大丈夫かなぁって観ていたら、もたいまさこは鏡に映った自分を凝視していた事実にドキり。

これ凄いよね、予告観たら「1989年の5月~7月にさつえいされました」なんてテロップが出てくるんだ。具体的に事件名は明かさないけど、その日付の十字架を背負ってしまった。物語を背負ってしまったからには引き下がれないのが悲劇。どれだけ映画作りに苦悩したんだ。

空港で、中国語で書かれた看板を持って出待ちしてるベンガルに絡んでくる男とか、ドキュメンタリーか?っつう不思議さ、男の「アジアより英語が得意~」の後に白人女性が英語で話しかけてきて、分かんないから散っていく男、背後にまだウロウロしているのも笑えちゃう。変なシーン。
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