マイク・リー監督がパルムドールを受賞した「秘密と嘘」(1996)の前作。1990年代イギリスの退廃的な若者たちの群像劇。カンヌ国際映画祭 監督賞、主演男優賞受賞。NAKEDは”裸”の意味。
無職のジョニー（デイヴィッド・シューリス）は女をレイプし、盗んだ車でロンドンに向かい昔の女ルイーズのアパートに転がり込む。彼女は不在だったが同居人のパンクな女ソフィーに招き入れられ2人で大麻を吸う。やがてルイーズが帰ってくるが険悪になりジョニーは街へ出ていく。。。
大半を即興で演出したということで会話劇が中心となっている。ジョニーが夜の街をさまよい行きずりの人々に絡んで説教していく。会話にはノストラダムスの予言と聖書の黙示録が度々出てくる。ノーフューチャーを逆手にとって常に強気なのが滑稽だ。
ロンドン・パンクの雄、セックス・ピストルズの曲「Pretty Vacant」を想起した。ジョニーはペラペラと偉そうに話し続けるが、口先だけで何もできない空っぽな男。女には甘え続け、母性本能をくすぐるのか何故か許される。ソフィーもパンク・ファッションで格好良く登場するが徐々に無力さを露わにしていく。
ヤッピー青年ジェレミーも「老いるのが嫌だから40歳まで生きていたら自殺する」と語っていた。二十世紀末である1990年代の厭世的な空気感は伝わってくる。世紀を跨いだ現在も、未来の見えない若者世代にとっては普遍性を持つ作品かもしれない。
