都部

トランスフォーマーの都部のレビュー・感想・評価

トランスフォーマー(2007年製作の映画)
3.0
マイケル・ベイ映画の脚本に改めてIQを求めるのは馬鹿馬鹿しいのでそこはまだ百歩譲るとして、物語の鈍化を引き起こす余分な下りがとにかく多くて、明らかに過剰な映像尺の作品である点は看過出来ない。

まず敵役(かたきやく)の頭目:メガトロンの登場まで約二時間掛かるのが正気の沙汰ではなく、末端のオートボットの暗躍はシーン単位では楽しいものの、オプティマス・プライムを初めとする面々の登場から決戦まで時間が掛かりすぎて話の間延びを産んでいる。

複雑な構成でないにも関わらず、本作の尺の大半を担う人間ドラマの三本の軸は錯綜としていてその上 面白味に欠ける散文的なもので、ようやく彼等が一堂に会するという流れになってもそれがあっさり消化され、終盤の大混戦により有耶無耶となるので長尺のドラマの積み重ねがまるで意味を成していないように思える。どうなってんだよ。

そもそも主人公との交流に心温まるような要素はないので、オプティマス陣営が人類を味方する動機である『人間の良さ』には首を傾げる以上のリアクションを取れず、たびたび誰が何をやってるのか分かりにくいカメラワークに準じるように、誰が何の為にどうしてそれをしようとしているのかがここまで不明瞭なのには驚きを隠せない。

変形における機械機械感が増し増しのガジェット挙動に対するロマンと盛り上がり重視の爆発詰めなシークエンスの数々は、素直に作品として評価点として上げられるが、この143分という尺に対して中身があまりにもスカスカであることはまず間違いない。
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