このレビューはネタバレを含みます
『トランスフォーマー』シリーズ、第1作。
映画の冒頭は、謎のロボットに襲われる軍隊と、車を手に入れた少年の話が描かれるわけですが、シリアスなSFと少年の成長物語を並行して描く展開は上手いなと思いました。
小難しい話だけでなく、共感し易い少年の話がある事で、だいぶ映画に入り易くなったのではないでしょうか。
その後は、サソリ型のロボットと軍隊が戦ったり、少年が車型のロボットに襲われたりと、様々なアクションやサスペンスで楽しませてくれます。
オプティマス・プライムが合流して以降は、コメディー要素まで出てくる始末で、本当にサービス精神が旺盛な作品だなと。
普通に見ているだけで面白いし、すっかり満足してしまったのですが、残り時間を調べてみたら、1時間近くも残っていて驚愕しました。
オートボットも勢揃いして、あとはラスボスを倒すだけかと思いきや、そこからセクター7なる組織が現れたり、ラストにはロボット達の大暴れも用意されていて。
正直、個人的にはもうお腹一杯と言いますか、デザートを食べて終えたいところに、新しい皿がどんどん出てくるんですよね。
旺盛と言うよりも、むしろ過剰と言うべきサービス精神こそが、ベイさんの作家性なのだと改めて思わされました。
過剰と言えば、ロボットに施された細かいパーツの数々。
ベイさんが拘っただけあって、変形シーンは確かに見応えがあるし、本作を特徴付ける見せ場にもなっていると思います。
ただ、個人的には、そこまで変形シーンに注目しているわけでもないし、そこに金を掛けるぐらいなら、他のシーンに回した方が良いのでは?とも思ってしまう。
こうした独善性を貫けるところが、良くも悪くもベイさんらしさであり、名監督に必要なものなのかもしれません。
とにかくギラギラした映像を撮るベイさんのシグネチャーと、機械生命体を描いたトランスフォーマーとの相性は、火を見るより明らかなわけで。
ベイさんの作家性が良い部分だけでなく、悪い部分も含めて引き出されるし、その相性の良さ故に、5作もコラボレーションを続けられたのでしょう。
そんなベイさんの作家性は尊重しつつも、個人的には2時間程度にまとめて欲しかったな~と思わされる作品でした。