このレビューはネタバレを含みます
映画の感想というか。
自分の中でのベスト小説を選べ!と言われれば、まず間違いなく第一候補に上がってくる作品、そんでもってそのままゴールを切りそうな作品が安部公房「砂の女」です。
公房の作品の中では読みやすさとテーマのわかりやすさが両立しており、彼の思想の放擲、その軌道が踊りに踊る芸術的筆致に翻弄されまくりたい!という人にはまあ今更?という作品なのですが、裏を返せば非常に人に勧めやすい、まさしく代表作だなあ、と思います。
(もちろん砂の女の文章の精密さったらすごいものなのですが。面白いですよねえ。)
映画は未見でしたので、鑑賞の機会に恵まれて本当に嬉しく思いました。
映画自体は、ああ砂の女を映画化したんだなあ、と言う感じでした。主人公が色男すぎてそこだけ最初違和感がすごかったです。
ビジュアルの砂っぷりは中々のものです。
微妙に抜け出せそうな(実際抜け出せるのがこの話のミソなのですが)穴ぼこの感じとか素晴らしく、撮影地の静岡の砂丘(らしいです!)にはぜひ行ってみたいな、と思いました。
勝手に砂丘って鳥取しかない、つまりこの話も鳥取砂丘の話なんだ!とずっと思い込んでいたのですが(バカすぎる)、日本全国に砂丘はあるらしいですし、なんならこの作品のモデルは東北の砂丘らしいです。
まあ鳥取砂丘の話では確実にないよな…。
そう言う意味でも原作がすごく読みたくなったので久しぶりに再読します。
研究文献とかも読みたいな。実在のモデルとか小説読むだけたったら知ってる必要ねえし、と思いつつも、この映画を見てから、1番好きな話なのに全く文献を読んでなかったと言うことがわかってしまい、すごく恥ずかしいです。わーっ!
箱男も映画化するらしいですね。見に行くとは思いますが、どうなるの?と言う気持ちが強いです。
映画と関係ないですが、彼が生前力を入れていた戯曲もいつか見たいなあ。大学在学中とかに見ればよかったよ。
とにかくいい機会を頂戴しました。ありがとうございます。