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薔薇の葬列のBONのレビュー・感想・評価

薔薇の葬列(1969年製作の映画)
4.3
パゾリーニ「アポロンの地獄」ファン必見作品。

セックス、ドラッグ、ゲイ・ボーイ。
奇天烈、芸術、アンダーグラウンド。

実験映像作家の松本俊夫監督の劇場用長編第1作で、日本アートシアターギルドの代表作でもあり、ピーター(池畑慎之介)の貴重なデビュー作。

鋭いナイフのような目つきをした若かりし日のピーターは、沢尻エリカと安室奈美恵を足して2で割ったような可愛さ。監督が100人以上のオーディションをしても見つからなかった主役のゲイ・ボーイを、自らゴーゴーバーに赴き彼女を見つけたという逸話があった。

60年代末の雑多な新宿を舞台に、ゲイバー「ジュネ」の看板少年エディ(ピーター)のエネルギーに満ちた生活、暗い過去、運命を描く。パゾリーニの「アポロンの地獄」をベースとしている本作は、作中でも映画ポスターがバックにびっしり貼られているシーンがあってリスペクトを感じる。

「母と交わり、父を殺す。」ということが本作では反転し、まさしく「裏・オイディプス物語」だった。オイディプスと同じ悲劇を見つめられない目潰しの運命を辿る様は、アバンギャルドな実験映画の巨塔ブニュエル「アンダルシアの犬」の目玉切取りシーンを彷彿とさせる。
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