ゆうさく

妖刀物語 花の吉原百人斬りのゆうさくのレビュー・感想・評価

5.0
オールタイムベスト
これはあまりにも凄すぎる
恐ろしく切実な映画

主人公がヒロインに惚れ込む瞬間が手に取るように伝わるヒロインの寄りのショット。他のショットに比べて明確に美しく撮られている。この差を出せるのが凄い。

流石に映画の黄金時代すぎる撮影の充実っぷり。ヒロインのヒモが殺害される場面、画面奥で館船?色街?の光がボウっと見えることで画面手前で行われる暴力の陰惨っぷりが際立つ。その前のヒモが屋敷の屋根を伝って行くところを移動撮影の長回しで見せるところも凄い。あまりにも豪華な作り物だらけの画面で映える生身のアクション。

宇宙一醜く美しいラストショットだった。
主人公が最も醜く(美しく)、ヒロインが最も美しく(醜く)なった瞬間に訪れる悲劇。
抑圧されきった主人公が全てを解放し何もかもを打ち壊していく姿は今作において最も鮮烈な生の実感を与える。そして吉原を囲む巨大な門に追い詰められたヒロインがそこに残す白い手形は吉原という抑圧の象徴でもある。解放と抑圧が一つの画面に映しとられ、それらが花吹雪によって覆われる。
ゆうさく

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