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海峡のtheocatsのレビュー・感想・評価

海峡(1982年製作の映画)
2.0
ネタバレ
人情劇が散漫化を招き音楽が全てぶち壊す

音楽・南こうせつのオープニングクレジットを見た時、思わずウグッ・・と。
案の定、見事に「場にそぐわない」背景音楽のオンパレード。
しかし、南こうせつさんが一生懸命曲を作られたであろうことは想像に難くなく、なぜ彼を起用したのかそこに大きな疑念点が残ってしまった。
最終的に彼の音楽にOKを出してしまった監督のセンスこそが致命的であり、音楽のみならず映画全体のクオリティも問われることになったのは痛恨の極み。
電子オルガンまで使って壮大なスケール感を無理に出すより、全編アコースティックギターで「神田川」調とか、或いは津軽三味線を多用しても良かったような気がする。今さら言っても仕方ないことだけど

それから人情劇が過剰と感じられ、世紀のトンネル工事という大スペクタクルが散漫化してしまったのは残念至極。

個々の俳優演技は良い場合とそうでない場合混淆という印象だったが、三浦友和の暴走族ケンカ登場シーンはヘタ過ぎてズッコケ(笑。※明らかにまずい演出のせい
しかし、徐々に成長していくさまは良く描けていたとも感ず。

吉永小百合と大谷直子はどちらも申し分なくきれいだし似通った雰囲気でキャラがかぶり、健さんもおよよと迷っちゃうよねあれじゃ。しかし結局その三角関係も深みにははまらずなんだかよくわからぬ結末。
人情劇偏重ならそこいら編も上手く描いてもらいたかったと恨み節。ったくもう・・

メインのトンネル工事だが、はっきり言って「黒部の太陽(裕次郎版)」の緊迫感・スペクタクルには遠く及ばず。
精神論・根性論が主になってしまい、玄人を唸らせるような具体的技術面の描写が欲されてしょうがなかった(玄人ではないけどさ)。
森繁久彌翁の奮闘には敬意を払ってしかるべきですが、荒ぶる九州男児としては上品過ぎたかも、誰が良かったかまでは分からないが。



総評二つ星

012006
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