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アリスのbennoのレビュー・感想・評価

アリス(1988年製作の映画)
3.8
チェコスロバキアの鬼才ヤン・シュヴァンクマイエル監督の実写とストップモーションアニメを組み合わせた不思議な迷宮譚…。

『目を閉じなきゃ…
さもないと、何も見えないのよ』

不条理で無秩序…まるで夢を見ているような奇妙な世界観…ただしその夢は…とてもグロテスクな"悪夢"です…。

勿論、題材はルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』…子供の頃の愛読書で言葉遊びに引き込まれました…そして子供心に不気味で怖かったジョン・テニエルの挿絵…ヤン監督の作品同様「怖いもの見たさ」の真意を見抜いて魅力的…。

今作はオリジナルとは程遠い作風でありながら…どちらもその本質は筋書きなど何も無く…それがこの童話の魅力であり、まさにナンセンスの世界観!!

「遅刻してしまう、首を切られるよ」が口癖、中身がおが屑の白ウサギ…「首をチョン切って」と命令するトランプのハートの女王…政治的な背景が見えなくもないですが…どこかシュール…。

他にも奇っ怪な人形やオブジェにキメラ…珍品のてんこ盛り…その中でアリスの可愛さがアクセント…。

何度も出てくる机と引き出し…引き出しを開けようとすると…"ポコッ"っといつも取っ手が抜けます…度重なる演出もその期待を高めて心を掴みます…そして時には、ドラえもんに出てくる引き出しのように、異次元空間にも直結…。

アリスの口のド・アップから『オテサーネク』同様…ヤン監督の"食"の拘りも見えてきます…。

スープ皿に盛られたおが屑をウサギがムシャムシャ…アリスはインクやクッキーで大きくなったり小さくなったり…瓶詰めの画鋲入りジャムや虫入り缶詰…どれもこれもグロくて不味そう…何故か、毎回味見をするアリス꩜

好きなシーンはネズミがアリスの頭の上で勝手に焚き火をセッティング…まさにセンス・オブ・ワンダー!! その後、このネズミは悲惨な運命にっს

頭を無にして愉しむ作品…どんどんどんどんクセになります…ෆ*


thanks to; Kaimei Beast (aka. 開明獣様) જ ‎♡⃣
       
3日以内に観たのでハンプティダンプティにならなくて済みましたっ…ෆ*

  
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