元船長小杉勇は戦後の不況で先行きが見えない暮らし、高級住宅街にある家で妻子とそれなりの暮らしは保っていたが心機一転、家を売り商売をして暮らしていこうと決意する

商店街では電気用品店を営む堀雄二と若山セツ子の兄妹
堀雄二は悪い仲間(伊藤雄之助)とつるんでいたが、そんな生活が嫌になり田舎で巻き直しを決意する
そんな時偶然再会した元上司である小杉勇に店をそのまま譲ろうとするのだが、、、

シネマヴェーラ渋谷の「新東宝のまだまだディープな世界」特集で見てきました
特に新東宝好きでもないんですが、初期の新東宝は作風が全然違うのでこの頃の作品は好き、見てみると当たりが多い印象

この作品を見た目的は若山セツ子、あらすじ紹介に「有閑未亡人役の木暮実千代が美しく、最強の妹キャラ・若山セツ子が可愛すぎる！」なんてあるもんだから気になっちゃってw
で、見てみるとその文句に偽りなし！今まで見てきた中でも両者ともベストに近く良かったと思う
特に木暮実千代の妖艶さがすごかった！何かとよろめいていたり、今時こんな人いないよ！って感じのいかにもさが良かったなー
お姫様抱っこされて連れて行かれる木暮実千代ってのも凄いインパクトのあるシーンだった
若山セツ子は健気で素直で笑顔が魅力的で、妹キャラで、兄が心配で、憂いの表情も多く、泣くシーンもあったりと、様々な表情を見せます
ただ印象度ではイマイチだったかも、もっとメインで見たいなー

話を戻して、ストーリーは現状打開のため新たなことに挑戦しようとする小杉勇や堀雄二なんだけど、なかなか思ったようにはいかない、不幸が次々と襲ってくる
小杉勇の家が全焼しちゃったり、堀雄二は過去の悪行がバレて逮捕されちゃったり、、、
そんな状況でも裸一貫立ち直っていこうってお話

なんだかんだ不幸はあるんだけど、人の温かさがあって、戦後数年って時代背景の中自分たちよりも悲惨な人は多くいて、みんなが復興のため頑張っていて、自分もやるぞ！的な明日に希望を持たせる作品です

主人公の小杉勇が味があって好き、こないだ見た「たそがれ酒場」でもそうだったけど、語り口がいいですねー、なんか納得させられちゃう上手さがある

冒頭では小杉勇が家への帰路、強盗に襲われるシーンから始まるってのもインパクトあったなー
その強盗役で、堀雄二の悪い仲間でもあるのが伊藤雄之助
この人のインパクトもなかなか、サングラスで顔を隠していようが隠しきれていないw たぶん影だけでも伊藤雄之助ならわかると思う

ストーリー的にも出演者的にも見所、収穫があって個人的には満足度高かった作品

失業中に強盗に襲われたり、火事に遭ったり、店舗を借りる話がダメになりかけたり、散々な主人公だが、めげずに前に進んでいく姿は、敗戦から立ち上がって行く当時の日本の姿そのものだ。戦後四年目、渋谷の街は殆どが平屋ながらも既にびっしり建て込んでいる。
勇気と希望を もらえる佳作。

仕事がない小杉勇、小杉勇の元部下で怪しげな男と関わりを持ってる堀雄二、近所に暮らす未亡人の木暮実千代などが登場する群像劇で、小杉勇が家を売って商売をしようとするが思わぬ困難に遭ってしまう。ビターでつらい話だけど、そのおかげで結末が嘘くさくなくて、ジーンときた。

「玉石混淆⁉︎ 秘宝発掘！ 新東宝のまだまだディープな世界」＠シネマヴェーラ渋谷